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10.172021
境界とは

境界とは土地の境界のことです。
境界とは、どういったものでしょうか?
具体的に説明します。
公法上の境界
土地を区画して人為的に線を定め登記した境界を「公法上の境界」といいます。
「筆界」は、明治時代の地租改正で課税するための資料として作成された「開租図(字限図)」に記入されています。
「原始筆界」は
- 地租改正時に形成された筆界
- 埋め立て等によって新たに生じた土地について形成された筆界(後発的筆界)
- 土地区画整理事業により権利変動後に形成された筆界(後発的筆界)などがあります。
公法上の境界(筆界)は、客観的に定められたものであり、当事者が合意で変更することができません。
当事者間で取り交わす「境界確認書」は、公法上の境界を確定するものではありません。
筆界は、次の場合以外に変更することはありません。
- 分筆を行った場合
- 合筆を行った場合
- 境界確定判決が出された場合
私法上の境界
所有権などの私法上の権利の対象となる土地の範囲を画する所有権の範囲を「私法上の境界(所有権界)」といいます。
筆界と所有権界が異なる場合は多くあります。
- 一筆の土地の一部を売却した場合
- 時効取得による場合などです。
「筆界」「所有権界」に関する紛争解決手段
筆界確定訴訟
- 筆界確定訴訟は、登記官に代わって裁判官が筆界を探し出して、不明の時は、引き直す裁判手続きで裁判官が判断します。
- 対象は地番と地番の筆界
- 裁判外で筆界の合意をすることはできません。
- 和解による解決もできません。
- 当事者の主張に拘束されません。
- 筆界特定記録の送付嘱託を求めることはできます。
- 時間とコストがかかります。
- 専門家の知識活用が手続き上保証されません。
- 当事者の対立構造があり、隣人関係に悪影響が出る可能性があります。
- 不服があれば控訴などで行います。
所有権の範囲の確認訴訟
- 所有権の範囲の確認訴訟は、所有権のおよぶ範囲を確認する裁判手続きで、裁判官が判断します。
- 対象は所有権のおよぶ範囲です。
- 裁判外で所有権界の合意をすることができます。
- 和解による解決もできます。
- 当事者の主張に拘束される場合もあります(自白など)。
- 職権による証拠調べができません。
- 証拠が乏しければ棄却判決ができます。
- 時間とコストがかかります。
- 専門家の知識活用が手続き上保証されていません。
まとめ
土地家屋調査士の使命は、不動産の状況を正確に登記記録に反映することによって不動産取引の安全の確保、国民の財産を明確にするといった極めて公共性の高いものです。