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境界、筆界、所有権界とは

「境界」という言葉には、明確な定義はありませんが、「公法上の境界」と「私法上の境界」という概念を含むものとされています。

公法上の境界と私法上の境界

公法上の境界は「筆界」といい、1筆の土地とこれに隣接する他の土地との間において

その1筆の土地が登記された時に、その境を構成する2以上の点およびこれらを結ぶ直線をいいます。

すなわち、公法上の境界(筆界)とは、隣接する異なる「筆」の境を意味します。

登記所に一つの土地として登記された土地の地図上の範囲を画する線のことをいいます。

他方、私法上の境界は「所有権界」といい、隣接する土地の所有権の範囲を画する境界を意味しています。

公法上の境界(筆界)

公法上の境界(筆界)は、明治初期の地租改正事業の過程で人為的に区画された土地の境界です。

明治6年の地租改正条例により、全国の土地を測量し、収穫高を査定して地価を更正し、改正地券を発行しました。

地価調査が終了次第、地価の100分の3を地租とするというものでした。

これにより、公法上の境界(筆界)が創設され、明治19年8月の登記法施行によって筆界形成が法制化されました。

筆界を変更するには

公法上の境界(筆界)は、課税という公的な目的のために形成された経緯があるため

私人が合意によって自由に変更することはできないものとされています。

あくまで、筆界を変更するためには、分筆または合筆登記によるか、判決を得る必要があります。

また、境界確定(筆界確定)訴訟において確定される境界は、公法上の境界(筆界)です。

まとめ

所有者同士が話し合って決める境界は、あくまで私法上の境界(所有権界)であり

公法上の境界(筆界)は、所有者同士が話し合って決めることはできません。

公法上の境界(筆界)は、私法上の境界(所有権界)をなぞる形で創設されてきた経緯からすれば

公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権界)は本来的には一致するはずですが

1筆の土地の一部分に取得時効が成立する場合などは一致しないこともあります。

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